そういう商売なのか

バス停で立っていた。
時刻は午後3時をちょっと過ぎた頃。これからバスに乗って街までいこうと思っていた。

来ないバスを待ちわびて、ボーっとしていたら、目の前に小さなトラックが止まった。中にはスキンヘッドで強面のアンちゃんが二人。僕に何か話しかけてきた。

音楽を聴いていたので最初何を言っているのか良くわからなかった。たぶん道でも尋ねているのかな、という印象。イヤフォンを外し、近づいて話を聞いてみると、
彼はこう言っていた。

ソニーの新しいバイオだ、安くするから買わない?」
膝の上には確かにノートPCのバイオがあった。電源とかマニュアルとか見当たらなかったけど。

・・・

瞬間、意味がわからなかった。
でもとっさに、「あ、要らない」と答えた。

トラックはすぐさま走り出す。10メートル先でUターンし、さっき来た方向へ戻っていく、最後に運転手は口に指を当て「シー」というような身振りを僕に投げかけた。

・・・

歩いているとき、自転車は要らない?と声を掛けられたことはよくある。
この前、グラフトンでヤンキー風のアンちゃんからソニーHDDウォークマンを売りつけられそうになった。

で、今度はノートPCですか。

これらはおそらく正規のルートで彼らが入手したものではないだろう。どういう経路で彼らの手に渡ったのか、まあ察しはつくし、そういう被害の話は良く聞く。でも、人通りのほとんどない道端でノートPCを押し売りされるとは、想像もしなかったよ。実際、ダブリンがヨーロッパの他の都市より治安がいいという神話は、眉唾だしね。今住んでいる部屋が、一階の通りに面した部屋だから、ちょっと防犯も考えなきゃね。