ダバディー氏の十案にたいして

ダバディー氏に敬意を示しつつ、自分の考えを表明し、議論を開いて見たいと思う。
そういう行為を通じて、何かが変わることを期待しつつ。

そしてこのようなコミュニケーションを通じて、日本的なサッカーのありかた、その文化が模索されることを期待して

1 JリーグとKリーグの統一

△ 反対ではないが、現実的ではない。

UKおよびアイルランドを巻き込むスーパー・リーグ構想という噂がたびたび流れるぐらいなので、JリーグとKリーグの統一という提案も、国際的にはとりわけ特異な話ではないと思う。実際ウェールズのチームがイングランドのリーグに参加している事例、北アイルランドのチームがアイルランド・リーグに参加している事例、北アイルランドアイルランドのクラブ・チーム間の交流戦、僕が知っているだけでも一国的サッカー協会の枠組みを越境する事例はいくつかある。

メリットはおそらく商圏の拡大に伴う放映権料の増加。さらにはスポンサーの増加なども望めるかもしれない。

ただし道は険しいだろう。おそらくかつてイングランド・リーグが行ったように既存リーグを残した上で、その上に新リーグを創設するということになるだろう。しかし、その新リーグに入る/入れないがチーム存続に危機になりかねない。

なので、たとえば現在あるナビスコカップのようなカップ戦レベルで相互交流をはかるというのはどうだろうか?
これなら既存のリーグの形態を維持したまま、目的は達成できると思う。

2 国際的なネットワークを持つGM

○賛成
ただしこのポジションに外国人を雇い入れるのことに関しては反対。
たとえ何年かかってもこの職にふさわしい人材を育成することが日本サッカーの強化に繋がると思う。
協会全体を統括する会長と代表を統括するGM、このあたりの役割分担が不明瞭なために、現在の混乱が巻き起こっているのであろうし。
GM職の創設とその下に位置することとなるであろう強化委員会あるいは技術委員会にさらなる権限を与えるとともに、責任の所在をはっきりさせる必要があるのでは?

将来的にはカズあるいは中田英あたりがふさわしいと思うがどうだろうか?

3 日本人監督トリオ、3人制度

×反対

理由は責任の所在が不明瞭になるため。監督はあくまで一人。それを補佐する形で監督が望む形で複数のコーチがそれを補佐すれば良いだけ。

4 日本サッカー協会のOB復帰

△意義はわかるが・・・

おそらくこの提案の骨子は、協会と現時点で協会に属していない(もしくは雇用の関係で属せない)優秀な人材をつなぎとめておくためだと理解している。そうであるならば、外部評価委員などという形式で協会内部ではなく、外部から意見を言ってもらうほうが良いのでは?

5 スポンサーと新たなフラットな関係

○賛成
スポンサーも、自社の短期的な利益だけでなく、日本代表の発展をサポートしているという姿勢が最も宣伝効果が高いという認識に、これから変わっていくと良いと思うし、そうなっていかないといけないだろう。消費者たるサポーターもそれほど馬鹿じゃない。

6 テレビ局の「日本代表プランとビジョン」

○賛成
まだまだサッカー文化が定着段階にある日本だからこそ、日本サッカー協会はどのようなサッカー文化が理想であり、それを根付かせるためにはどのような方策が取りうるのか、ということについて自覚的でなくてはならない。そしてその媒体としてテレビ局のみならず雑誌、新聞なども含めて、うまくリードしていかなくてはならないだろう。

7 フランス・サッカー協会と日本サッカー協会の審判交流システム

○賛成
ただしフランス・サッカー協会だけに限定する必要はないと思う。さまざまな地域のサッカー協会と審判交流システムを含めた包括的な関係性を構築し、いろいろなことをお互いに学んでいけばいいと思う。必ずしも日本が教わるだけではないと思うし。

8 Jリーグと話してナショナル・チームの合宿、スペースを増やす

○賛成
ただし共通認識としての日本的なサッカーのあり方を検討することからはじめなくてはいけないだろう。
そのためにも日本サッカー協会Jリーグ各チームとの間のコミュニケーションを質、量ともに増やしていかなくてはならないと思う。

9 日本代表ユニフォームの新たな考え

○賛成
ただしオリエンタリズム前回の文様には反対。あと赤、白も反対。
青を使う国も多いし、赤、白も多いとなると自ずから使える色って少ないのも事実。
青の濃淡を変えるのも一つの代案か。藍色とかね。
ともあれ日本サッカー協会内部のみならず幅広く議論を開いていく必要があると思う。

10 フィジカル、パワー革命

○賛成
いいかげん根性論から脱却したいところ。体調管理を含めてもう少し改善することは可能であろう。
そもそも風邪を引き、高熱を出している選手を試合に起用し、それが万が一大事に至ったとしたら、その怒りや悲しみを僕らはいったいどこにぶつければいいのだろうか?選手?フィジカル・コーチ?ドクター?監督?
それにこの大会通じて痛感したフィジカルの問題も、他の競技と比較した場合、より深刻に思えた。
ということはまだまだ改善のしようがあるということなんだろう。
これはユース世代を含めた育成の問題でもあるだろうから、やはり日本サッカー協会が責任をもって草の根レベルまで徹底し、そのノウハウを構築しなくちゃいけない問題なんだろう。

近況

年末年始から椎間板ヘルニアとかやって、凹んでいましたが、ようやく普通に動けるぐらいにはなりました。まだ痺れとか残っているけど。そして気がつけば月末。締め切りやらなにやら思い出して泣きそうです。ヤレヤレ。
 というわけで、お約束
ブラザーのカラーレーザー複合機「MFC-9420CN」欲しい!
ということで。

 ユーロ予選2008

Group D
Czech Republic
Germany
Slovakia
REP OF IRELAND
WALES
Cyprus
San Marino

率直な感想としては微妙な組み合わせ。

ドイツはワールド・カップが終わってみないと現状では戦力を評価することができない。今のところ駄目そうなイメージなんだけど、帳尻あわせのようにそれなりの結果を残せそうな気もする。それがどう次のユーロに繋がるのか、僕には判断できない。

無論この組の見所はもちろんそこではなく、チェコとスロヴァキアの対決なわけだが。多分分裂後初では?チェコもそろそろ世代交代で額面通りの力が出せるかどうか微妙なところ。このチームもワールド・カップ以後どうなるのか今のところ未知数。

で、アイルランドだが、これまた暗中模索。監督はようやく決まったが、何せテスト・マッチもやっていないから方向性も何も明らかではない。引退を表明しているベテランの抜けた穴を若手が埋められるか、というのがポイントなのは間違いないのだけど、いかんせん頭数が足りない。期待の若手を何人イングランドもしくはアメリカからスカウトしてパスポートを与えられるか次第なんだろう。FWとCHに欲しいところ。まあそれでも、実績的にはドイツ、チェコに次ぐ存在なのは間違いないだろうから、チーム作りさえうまくいけばどうにか予選突破は可能なんじゃないだろうか?

まあ、最大ライバルはお隣ウェールズラグビーでは毎年やりあっているが、フットボールじゃどうだろう?盛り上がることだけは間違いない。ホーリー・ヘッドからのフェリーで赤い軍団が大挙してやってきて、フルハウスのクローク・パークつうのは想像しただけでわくわくするのだが。

 GetARef 6

数日前に導入したGetARefというソフトをいろいろといじっています。

このソフトは、「論文作成支援」という名目に、主に文献整理を目的としたもの。そのためほとんどの人には縁のないかもしれません。どういう機能をもっているかといえば、論文、書籍のデーターベースを作成するためのソフト。ただそれだけの機能なら、AccessでもExcelでも、なんなら原始的にテキスト・ファイルを大量に作成して検索ソフトで一括検索とかでもOKなんだけども*1、このソフトを使えば、ネット上のデーターベースからぶっこ抜いたデーターをこれで一括管理してくれるわけで、ちょっとは作業が楽になる。楽になるといいな、楽になると信じよう。

と、ここまでなら別にこのようなソフトを使わなくてもOK。データーベースからのダウンロード*2のあとの処理も実は検索ソフトさえまともなら、わざわざこういうソフトを使う必要がなかったりもするわけで、決して安くはないソフト*3なので、そのへんが導入をためらっていた最大の要因。

でも、これじゃないとできない機能はさらにあって、文献を管理するだけでなくWordと連携して、注記、文献目録作成を支援してくれるとのこと。投稿する雑誌のスタイルに合わせて、注記の表記方法も弄れるらしい。これ実は意外と時間が掛かる作業&だいたいそのころには締め切りに追われている&脳みそオーバーヒートでうっかりミス多発、ということを何度も繰り返してきている僕には、実に魅力的な機能だったりします。だから「文献管理」ソフトではなく、「論文作成支援」というわけなのです。

こういうジャンルのソフトは英語圏では、結構使われている模様。なんせ、大学院生が自由に使えるPCがほとんどなく、学科の予算でデジカメ1台しか買えない、指導教官が使っているPCは初期iMacというぐらい、金銭的にも設備的にも遅れていたアイルランドの大学ですら、学生に導入を薦めるぐらいのもの。多くのデーターベースでも、そういうソフトウェアに対応したファイル形式で結果を落とせるようになっています。そういうわけで、向こうにいたときに学校がライセンスでEndnote*4を一括購入するからだいぶ安く*5導入できる機会があったものの、こちとら英語だけでなく日本語の論文や書籍も扱わなきゃいけないわけで、英語版のEndnoteを導入すると、その辺がたぶん無理そうで踏ん切りがつかなかった。

ひょんなことから、今回GetArefのほうを手に入れることが出来たので、「人柱」としてインストールして、使っている次第。

結論から言えば、それなりに使える。ただし結構ハードルは高そうだし、使える分野、特に人文科学系だと限定されるだろう、そういう印象。

最大の理由はやっぱり日本(語)という特殊な環境。日本語で書かれた論文を主に扱うデーターベースの数が少ないという印象。いや単純に僕が知らないだけなのかもしれないけど。例えば歴史学なら、主要な雑誌として『歴史学研究』、『史学雑誌』があって、あと日本史なら『日本史研究』、あと方法論や地域ごとに分かれているけど、それらを一括で検索できるところはたぶんない。それぞれホームページとかあるのだけれども、そこからでもバックナンバーの検索ができないところもある。検索すらできないのだから、こういうソフト向けのファイルでダウンロードとか夢のまた夢。

もちろん大学図書館OPACとかWebcat、なんか最近始まったみたいだけどWebcat Plusでも、そういう方向でのサーヴィスはほとんど行われていないみたい。

だから日本語の雑誌、書籍は当分は手打ち入力なんだろう。メンドクサイ。

これが英語圏のものになると状況はぜんぜん違う。

単体の雑誌レベルでも、例えばイギリスのPast & Presentあたりだと、検索はもちろん、この手のソフト用に検索結果をダウンロードすることが可能*6。さらに金さえ払えば*7その場でPDFで閲覧することも可能だったりする。

もちろんこういう雑誌をまとめて扱うデーターベース(Ingentaとか)もある。こういうところからも検索結果をダウンロードして、このソフトに取り込むことは可能。さらに論文のコピーの注文とかも出来たはず。

金に糸目つけなければ、座ったままで研究に必要な論文のリスト作成、コピーの収集なんて朝飯前の世界なのだ。泣きながら国会図書館に行ってコピーの依頼をお願いするとか、遠くにある大学図書館からお取り寄せをお願いするとか、そういう手間はだいぶ省かれる。*8

というわけで、人文科学系で英語論文を読まなきゃいけない人間だと、リストアップの作業をだいぶ簡略化してくれるGetAref。今のところ使い勝手の悪さはない。マニュアルが薄いとか、使いこなすための情報量が少ないとか、日本語のオフィシャル・ページの情報が少ないので、英語の方見にいったらもっと少なかったとか、いろいろありますが、とりあえず当面は使う方向で。

たぶん最大の問題は、リスト・アップするのに満足して読まない人的要因のほうにあるのだろうし。

*1:結局未だにこの方法を利用してます。

*2:メールやらテキストやらいろいろな方法で落とせる

*3:Endnoteはアカデミー・パックで5万?ぐらい。GetArefでも学生向けで1万数千円。

*4:たぶん一番有名かつユーザーが多そう

*5:それでも2-3万円ぐらい

*6:GetAref向けのファイル形式は選べないけど、Endnote用でインポートすることが可能

*7:正規の会費を納めなくても、一日一論文単位で短期利用も可能

*8:もちろんそれだけですべて集まるなら誰も苦労はしないし、データーベースに入っていないような雑誌に興味深い論文が入っていることは良くある。結局足で稼がなきゃいけないのはどこでも一緒。

 と書いたものの

何を書いていいものやらさっぱりわからないので、最近読んだ本をざっと列記してみます。方向性としては、リハビリテーション

上にも書いたように日本語で論文書かなきゃいけない*1ものの、何に焦点をあわせたらいいのかさっぱり検討も付かないので、同時代的かつ日本的な問題関心を把握したいというのが、たぶん背景にあるのでしょう?本当かどうか本人も良くわかっていませんが。ただ単に本屋で目に留まった、あるいは話題になっている本を買い求めているだけという噂もあります。

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

萌える男 (ちくま新書)

萌える男 (ちくま新書)

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学

限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学

ユリイカ2005年11月号 特集=文化系女子カタログ

ユリイカ2005年11月号 特集=文化系女子カタログ

現代思想2005年11月号 特集=マルチチュード

現代思想2005年11月号 特集=マルチチュード

ざっとこんな感じ。最後の『現代思想』は最近出た『マルチチュードを買うかどうか迷って、アンチョコ?解説?を先に買い求めたというヘタレっぷり。

ついでなのでダラダラとコメント。覚えている限りで。
下流社会』は話題になっている割には、つまらなかった。なんかおっさんが説教しているような文体が鼻に付くんだろう。
文化系女子カタログ』はポップなイラストに騙され、内容はすごく痛かった。でも最初の方の論文は、別に「文化系女子」に限らず人文科学系「男子」院生にも共通する話だと思うし、全体を通して「文化系女子」というカテゴリーがうまく見えてこないあたり、少し企画倒れのような気もする。
『限界の思考』は、長い対談集ということもあり、だいぶ読みづらかった。これだけ何度も同じ主張を繰り返されると、一番オブセッションにとらわれているのは宮台さん自身なんじゃないの?という気にもなる。あと世代的な話になるのも・・・。

これ以外にもまだ何か読んだ気がするけど思い出せない・・・。
新本格物の推理小説はたらふく読んだけど。

あとは僕の周りですごく評判が悪い稲葉信一郎の『資本論』あたりを読もうかと。なんかお勧めありますかね?

*1:もちろん歴史学アイルランド史というマイナー領域でね

 近況報告

気がつけばあっという間に12月です。
マリーンズの優勝もジェフのナビスコ制覇も、ロイの退団もなんにもふれないまま放置してありましたが、そろそろ復活しようかと思っています。

ずっと放置していた最大の理由は、単純に書くことがないため。
日本にいると別に僕が書かなくても、誰か書くし、そもそも時間ないし、速度が遅いのでネタの賞味期限が・・・とか考えると、何にも書けない(もしくは書かなくていい)ということがよくわかりました。

それですんじゃう話なんですけど、それだけじゃあんまりにも寂しいので、もう少しふんばってみようかと。もちろん留学中よりも時間的に余裕はないですし、ネタの方向も少しばかりアカデミックな方向に振れることだと思います。

そろそろ論文も書かなきゃいけないしね。そういう方向でよろしくお願いします。