ワールド・カップ予選 アイルランド VS イスラエル
スーパー・レフリーはヨーロッパにもいた。 ギリシャ人のK. Vassarasという審判の名前は絶対に忘れない。ヨーロッパですらこういうわけだから、地球上にまともなレフリーだけで運営されている地域というものは、存在しないのかもしれない。ならばあらためるべきなのは、我々の認識なのかもしれない。サッカーというゲームは時に審判の気持ち次第で、彼らが主役になれるものだという風に。
一体何本のPKを認めてもらえなかったのだろうか。
イスラエルはたった一回のチャンスを認めてもらえたというのに。
後ろから体を寄せたらすべてファール。交錯したらファール。スライディングしたらファール。足を腰より上に上げたらファール。抗議したらファール。相手を手で押さえたらファール。確かにそういうルールなんだろうけど、ならなぜアイルランドのPKだけが認められないのだ。
オブライエンの退場はやり返した彼も悪いが、最初にちょっかいを出したのはイスラエルのGKだ。以下イレブン・ア・サイドの選手評からの引用。
Somewhat unlucky to be sent off after a clash with Awat, with the keeper seeming to strike him first. His frustration was shared by almost everyone in Lansdowne.
悔いが残る試合だけども、そんな泥試合に付き合う必要がなかったのもまた事実。ロイの不在、そして早すぎるロビーの故障。
とりあえず先発の確認
ロビー モリソン アンディ キルバーン ホランド ダフ ハート カニンガム オブライエン オシェイ ギヴン
オシェイを右にまわし、中盤にはホランドを。そしておそらくオシェイとのコンビネーションを考えてダフを右に。そういう陣容。
開始直後、自陣深くからイアン・ハートの名刺がわりのフィード。これを完璧な飛び出しでロビーが抜け出したかに見えた瞬間、相手の手が肩に伸び、そのままバランスを崩し、地面に受身を取れない感じでたたきつけられた、PAの中で。おそらくこれが今日の泥試合の幕開けだったんだろう。ロビーは右肩を負傷。そしてPKはもらえなかった。
その後も、アイルランドのペース。ダフがPAの前で倒されて得たFKを、ハートが狙い済まして先制。
2点目は美しかった。ちょうどセンター・サークルでボールを受けたリードがDFの裏を狙い挙動を開始したロビーへ。美しい軌道を描いてボールはトップ・スピードで抜け出したロビーの前へ。それをゴール正面で真後ろからきたボールをダイレクトで右足に、ややループ気味のシュートで追加点。
この段階で、誰しもがアイルランドの勝利を確信した。
しかし、右手すら上げられないロビーの状態が思わしくなく、カヴァナーを投入。ダフをトップへと上げ、キルバーンを左サイドへ。
この後もアイルランドのペースが続く。
しかし、次第に審判が笛を吹くペースが速くなる。
そして、ここで負けると予選突破が厳しくなるイスラエル。プレスの位置をだんだんと上げ、リスクを負い前へと出てくる。試合がお互いに中盤での潰し合いのような様相になると、ここからは審判の独壇場。おそらくプレミア・リーグ基準で軽くあたりにいけば、それだけでファール。下手をするとイエロー。これでだんだんとアイルランドはペースを壊していく。
何より、オシェイ。今日は完全にブレーキ。とくにフィードが不正確というよりも、詰めてきたイスラエル選手に当たる。これも、せっかく良かったリズムを壊す要因となった。
こういうときに、ロイがいれば、DFラインからのボールを下がって受け、はたき、また受け、はたくというようなダイレクト・プレーを繰り返しつつ、ボールをセーフティにキープしつつ、味方が落ち着くの待ち、そして試合を落ち着かせることができたかもしれない。
しかし、彼の不在、審判の悪影響もあり、次第に悪循環に。
それでも前半終了まで粘れれば展開は変わったであろう。しかしイスラエルはその数少ないチャンスを生かした。一点目は遠めのFKから。DFラインの前、PAの内側すぐあたりで、Avi Yehielがボールを後ろへ流すような動き、それが、ゴール右隅へ。これはさすがのギヴンもノーチャンス。
2点目はオシェイの不注意なプレー。イスラエル選手のPA内でのポストプレーを、体に手をまとわりつけるような感じで抑えにいったところ、相手がうまく転び、PKを献上。PKは一度やり直しがあったものの、結局決まり、まさかまさかの同点。
後半は完全にアイルランドのペース。ときおりイスラエルがカウンターで応酬。そして、僕はあんまり覚えていない。後半途中から、アンディに代わり、怪我をおしてドハーティを前線に入れパワーゲーム。彼はやはり正しくナイエル・クィンの後継者足りうるのだろう。何度も彼の高さを生かした形でチャンスをつくる。しかしゴールは遠い。
いったいいくつのチャンスがあったのか。
何が原因で得点が取れなかったのか。
アイルランドは闘志を全面に出して戦った。僕は行けなかったけど、スタジアムにいる奴らも、全力のブーイングと割れんばかりの歓声とコールで彼らを支えた。イスラエルも死ぬ気で身を挺して守った。その本来感動的であろう試合を審判がぶち壊した。確かに激しい肉弾戦だった。イスラエルのGKは接触プレーをおそれず果敢にゴールを守った。最後はそれこそ満身創痍で、鼻血まで流していたわけだし。しかし、贔屓目にとはいえ、やはりアイルランドに何本かのPKは与えられるべきであったと信じている。
しかし、結果は無常である。
審判への不信は両チームともにあったはずである。
イスラエル側は確かにラフなプレーが多かった。計7枚のイエローカード。
一方アイルランドは2枚のイエローに無駄なレッドが1枚。カードの総数は10枚を超えた。ロスタイムは7分。それでも短く感じるぐらい、怪我、抗議、いざこざが絶えることのない展開。なんでこんな泥試合になったんだろう。
結果、引き分け。
スイスがフェロー諸島に3-1で勝利したためにグループ首位へ。
アイルランドは得失点差でフランスを交わして3位へ。
イスラエルは消化試合が一試合多いものの、上位との対戦は次のホーム、スイス戦。これに勝つと残り下位2チームとの対戦ということになり、取りこぼしがなければ、当確ラインの20に届く。そうなれば1位通過も夢じゃない。
それはスイスも同じこと。アイルランド、フランス相手に4試合4引き分けを演じたイスラエルに勝つと、これまた1位通過が近づく。ただし、まだアイルランド戦を残している。
フランスにしろ、アイルランドにしろ直接対決があるだけに、まだまだ1位通過の可能性は充分に残っている。ただし、もう取りこぼしは許されない。そして上位との直接対決で勝ったほうが一気に優位に立てるという展開。
フランス、スイスとのホーム・ゲームを残している分若干有利。ただし、今日のように何が起こるかわからない。
次は水曜日にアウェイ、フェロー諸島戦。今日レッドカードのオブライエンは出場停止が確定。すると・・・今日途中出場したドハーティをDFに廻さざるを得ない。そしてセンターバックの控えはいなくなった。今日散々だったオシェイはおそらくベンチに入り、控えセンターバックということになるのだろう。ハートの出来が素晴らしかっただけに、一気にレギュラー・ポジションを失うことになるかもしれない。右にはスティーブン・カーが復帰するし、中盤はロイが復活する。ロビーの状況はまだわからない。とりあえず祈るしかない。最終的に得失点差での争いになることが十分予想される展開だけに、アウェイとはいえ大量点を取りたいところ。
順位 チーム 試合 勝 分 敗 得点 失点 得失 勝点 1 スイス 6 3 3 0 13 4 9 12 2 イスラエル 7 2 5 0 10 8 2 11 3 アイルランド 6 2 4 0 9 4 5 10 4 フランス 6 2 4 0 5 1 4 10 5 キプロス 6 0 1 5 4 12 -8 1 6 フェロー諸島 5 0 1 4 3 15 -12 1