祭りが終わり
今アイルランドの大統領は日本を訪れているみたいですね。こちらの新聞でも写真入りで紹介されています。昨日はなんでも清水寺にいったみたいですね。もっともそれよりライス女史と小錦が抱き合っている写真の方が大きくカラーで報じられているあたり、ここはどこの国だと、小一時間ほど・・・。
そう、なんだかんだ言って、アイルランドとアメリカの関係は切り離せません。人口で考えてもアメリカには4500万のアイリッシュ・アメリカン*1が暮らしています。一方アイルランド共和国は約400万人。北アイルランドを含めても600万人なわけですから、どっちが本国なのかわかりません。
そういうわけで、このセント・パトリックス・デーに二組の重要人物がアメリカに渡りました。一組は亡くなったRobert McCartneyの親族。彼女らはセント・パトリックス・デーに、ホワイト・ハウスで大統領と面会しています。そしてもう一組がジェリー・アダムスご一行。言わずとしれたシン・フェイン党首です。彼らもセント・パトリックス・デーの前からアメリカに渡り、各地のアイリッシュ・アメリカンの組織と面会しています。
なんでこのようなことになったかということを説明するためには、まずRobert McCartneyについて、そして彼が巻き込まれた事件を説明しなくてはならないでしょう。説明が長くなるので、この事件に関して詳細な説明がなされているこちらのページを参照してください。
北アイルランド、ベルファストに暮らすカソリックの労働者がパブで刺殺された。単純にいえばそれだけの事件だったはずなのですが、それが立派な国際問題にまで発展した分けです。その背景には昨年末に北アイルランドで起きた、大規模な銀行強盗事件というものがあります。これは現在IRAの組織的な関与が疑われています。そういう中で、今度の殺人事件への関与*2があらたに噂され始めたわけです。
アメリカ政府がMccartneyの遺族をホワイト・ハウスに招いた理由もおそらく、Iアイリッシュ・アメリカンへの「テロ支援活動」に対する戒め、ということになるのでしょう。IRAの最大の支持基盤はアイリッシュ・アメリカンです。ですから、ジェリー・アダムスは身内の粗相についてお詫びおよび釈明をする必要に迫られての訪米ということになります。
南、つまり共和国側の世論もここんとこシン・フェイン、IRAに対して厳しいものとなっています。謝りつづけているジェリー・アダムスの演技力*3のおかげで、なんとかシン・フェインは政党として生き残れそうですが、IRAは支持基盤を大幅に失いつつあります。これが和平合意の実現にどういう影響を及ぼすのかは、まだまだ不透明だけれども。