授業料を巡る騒動、マネーロンダリング・ワンダーランド*1

今週木曜日までにこちらの大学へ授業料を支払わなくてはならない。
日本円にして約100万円強。お金の調達はもうどうにかなった。

問題はどうやって払うか。インターネットバンキングがこれだけ盛んになっても、
国を越えてお金を送金するのは結構めんどくさい。一番楽なのは、すべてこちらの
銀行口座に移してから、そこから小切手なり、電信なりで振り込むというもの
なんだけど、やり方がよくわからない。

去年どうやって払ったか、思い出してみると、現金で払ったような記憶があるので、
今年も、原始的だけど、現金一括払いが一番シンプルで楽だな、という結論に落ち着き、
現金をかき集めた。だいたい1週間ぐらい前のお話。

日本だと、ATMから一気に下ろせるけど、アイルランドではそれはできない。
こちらのATMは24時間、いつでも、手数料なし(日本の銀行発行の海外用のカードは別)
で、おろせるのだけれども、一回に引きおろせる金額が少ないのである。
銀行にあるATMでだいたい700-800ユーロ。コンビニとかにおいてあるやつだと、
だいたい150-200ユーロしかおろせない。それに、一日の引きだし限度額が別にあって、
これが大体800ユーロぐらいなはず。だから、7000ユーロ強を現金で集めるのは、
結構めんどくさい。*1

そんな感じだけれども、まあ、学校行く途中で下ろして、お昼に下ろして、帰りに下ろす、みたいな状況で、なんとなく、お金の用意は完了。

用意できたから、ちゃっちゃか払っちまおうということで、銀行まで。街中にある、
アイルランド銀行の本店は、僕の大学用の窓口が別にあって、そこで支払いがらみ
のことは、すべて取り扱っている。

その窓口にて、

・・・ 授業料の支払いしたいんだけど、どうすればいいの?

アイルランドの銀行口座から引き落とすの?」

・・・ いや、現金で?

「現金?どうやって引き出したの?そんな大金?」

・・・ へ、普通にこの銀行の口座とか日本の銀行の口座から

「だって、10日ぐらいかかるでしょう」

・・・ そんなには掛からなかった。一週間ぐらいかな?

「外国からのお金の流れに関して、注意するように通達が出ているのよ。だから、そのお金は当銀行としては受け取れないの。マネーロンダリングとかそういうやつに引っかかるのよ。ちゃんとした証明がないと」

・・・ へ?いや普通に自分の口座から下ろしただけだよ。

「どこからお金が流れてきたのかわからないとダメなのよ。」

・・・ へ? どこからって、大半は自分の家からの送金なんだけど、ダメ?

「そうね、日本の銀行に頼んで、あなたの口座の取引の詳細をFAXとかで送ってもらえばOKよ。」

・・・ FAXって。支払期限今週の木曜だよ。間にあわなかったらどうすんの。

「でも法律でそうなっているから。外国から不透明なお金のやり取りが問題になっているのよ。」

・・・ ? インターネット・バンキングのページ情報じゃだめ? どこから入金があったか、どれだけ引き落としたか、一応わかるから。もちろん日本語だけど、必要なところは翻訳するからさ。

「うーん、まあそれでも大丈夫かな。プリント・アウトして持ってきてみて。」

別に急ぐことはない、銀行の営業時間もまだ数時間ある。でも、この窓口の人から最大限の譲歩を得られた。この機会を逃してはいけない。たぶん明日になったら、違う人が違うことを言う。それがどういうものになるのか、想像もつかないけど、今出来るなら、今やった方がいい。この人の気持ちが変わらないうちに。この一年で学んだこと。それは、アイリッシュがやる気を出しているときに、それを挫いてはいけない。めったにやる気をださない人たちだけど、やる気を出してくれたときは頼りになる。そのタイミングを逃すと、簡単に済むはずの話が、こじれて、ややこしくなる。これは別段アイルランドにかぎったことじゃないのかもしれないし、日本でもそうなんだけど、その程度の差は比べ物にならない。そう思い、ダッシュで大学へ。まあ、道を渡ったとこにあるんだけど。

まず、大学院生用の自習室へ向かい、共有PCを立ち上げる。パスワードを入力し、インターネット・バンキングのページへアクセス。取引記録を表示させ、プリント・アウト。


・・
・・・

横にあるレーザー・プリンターはうんともすんともいいません。
紙切れかと思って、よこにあったコピー機から紙を失敬して、挿入。
でも、なんも反応しない。ディスプレイを見ると。

「トナー・カートリッジが入っていません」と素適な表示が。

・・・ クズ。

と日本語で罵った後。文学部棟一階の大きなパソコン・ルームへ。
人気がないので、どうしたことかと思ったら、50台ぐらいあったPCがすべて撤去されていた。学校がお休みの期間で、観光客に完全解放しているから、セキュリティーの問題なのか?

・・・ 使えねえ。

しょうがないので4階にある、別のパソコン・ルームへ。ここは人がちゃんといる。動いているやった、と思いきや。レーザー・プリンターの前に見慣れぬ機械が。

そういえば、課金システムが変わったんだっけ。で、どうやるの、これ?なんかいろいろと書いてあるけど、わけがわからない。たぶんこれまでの流れから言うと、このシステムを理解したあと、いざプリント・アウトしようとすると、トナー切れか紙切れだな、この流れは。と、諦め、素直に近くのネット・カフェへ。プリント・アウトも無事終わり、銀行へ戻る。

まだ、窓口には、その人がいた。プリント・アウトしてきたことを告げ、口頭でお金の流れを説明する。

「OK。これでいいわ、じゃあついておいで」

といわれ、別室へ。そこで、お金を払い、領収書をもらい、支払い完了。
なんだかな。2年目もなんだかんだ言って、トラブルが多そうだ。

次の関門は、大学の学生登録と滞在許可申請かな。

*1:日本の銀行発行の海外用のカードも一日の引きだし限度額があるし。