悪の枢軸

大学の方は、今週いっぱいで学期が終わります。てな感じなんで、周りの空気もパタパタと、解放感が漂い、それに感化されたというわけではないのでしょうが、僕のやる気もだいぶフラフラしている今日この頃。蓄積した疲労がどっと出て、クラクラしているのもまた事実。いろいろとしなきゃいけないことは山積しているけど、どこから手をつけようか悩んでいるうちに、時間だけが過ぎていきます。

まあ、着替えの下着が底をついていることに気づいた昨日は、僕は一体何年一人暮らしをやっているのかい?と自問したりもしつつ、結構身の回りのことにも気が回らないぐらい、疲れているのかなぁ、と思いつつ、冷静に考えてみると、何度か洗濯しようと思い洗濯機をのぞいてみるたびに、家主の服がどさっと入ったままで、家を空けていることが多かったわけで、当然自分にも責任はあるけど、それだけじゃないということで、ちょっと自分を慰めてみたりもしています。

家主が最近家を空けていることが多いのは、当然彼女の引越に関係しているわけで、今週末(土曜日)には移動するとのこと。で、現在引越し準備はいっさい行われている気配がない、そんな木曜日。「土曜日は空けておいて」と言われてもね、いや空いているのだが、ちょっと大変そうでしり込みしちゃうわけで。まあ否応なしに手伝わされることは確定なのですが。

そんな感じで、着々と引越及び新しい入居者の選定は進んでおります。一人は確定しました。レゾーというイラン人が今週末だか、来週始めには越してくるそうです。

で、昨日はヘロヘロになって帰ってきたら、彼が尋ねてきておりまして、お酒を飲みながら、いろいろとみんなで話していたら、結構おもしろい?というか興味深い経験をしている人です。

今度彼は僕のいる大学に技官?として就職したわけですが、それまで、アメリカの大学の博士コースで勉強し、博士号をとったばかりの人。ちなみに専門は物理学。高校の物理で赤点とっているような僕には彼の専門の話はちっともわからないわけですが、なぜ彼がアメリカを離れ、アイルランドに就職したのか、という話はちょっとすごい。

冷静に考えれば、アメリカで博士号をとったばかりで、年はそれなりにとっているけど、バリバリのエリートなわけですよ、彼は。しかもすんなりと就職口が決まるぐらいだから、優秀なわけです。でも、彼はアメリカにこれ以上いられない理由があったわけで、それは当然いわゆる「9・11」に関係しているのです。

彼曰く、「9・11以降、イラン人をはじめとするアラブ系の研究者はアメリカのアカデミックから排除されている」そうな。なんでも「研究雑誌に投稿しようにも、国籍や名前やそんなんで、アラブ系と判断されると、それだけで掲載不可になる」、「すくなくとも彼が所属する自然科学系のアカデミックな世界で、アラブ系専門家が研究活動できる余地はない」、とのこと。本当かどうかは僕には判断できないけど。

ちなみに彼は、もうムスリムではないそうな。*1実際、酒飲みながらこういう話をしているので、厳格なムスリムではないのは事実。

そういう話はちらほら聞いていたけど、実際にそういう話を聞くとびっくりしちゃいます。一応僕も領域はぜんぜん違うけど、アカデミックな世界に片足つっこんでいる人間なんだけれど、でも、そういう経験は自分にはなく、まったくもって実感はないのだけれど、もし本当ならば、すごい嫌な状況だよね。

そんな話をするもんだから、家主*2は大興奮して、ずっとアメリカの悪口言っていました。ちょっとこれもあんまりにもステレオ・タイプ的なアメリカ批判なんでどうかと思いましたけど。

彼が半ば自虐的に「イランはアメリカにとって悪い国リストのトップだからしょうがないよ」てな感じのこといったときは、ちょいとばかり沁みました。本当だれにとっての「悪の枢軸」なんだよ、いたい。

ということで、家の方はだいぶバタバタしております。あと2部屋空くので、最大4人ほど引っ越してくることになります。有力候補にイタリア人のカップルがいるので、あとキューバ北朝鮮かその辺の方が加われば、旧「悪の枢軸」(日本・ドイツ・イタリア)&新「悪の枢軸」がそろいますので、その辺を国の人を希望ということで。

*1:ちなみに彼の本名?はムハンマドさんなんで、もともとはムスリムであったのでしょう

*2:生物学で博士号をもっています。