破壊王逝く

言葉もないな。

僕は橋本真也がキライだった。
いや、正確にはプロレスというものがキライだった。10代の間は。
おそらく、ガキの頃から真剣に空手をやっていたのが原因だと思う。
自分が学んだ技術をベースにして「プロレス」を見てしまうから、その中途半端な「ギミック」や、「はったり」加減がダメだったんだろう。

でも、沖縄を離れ、空手から距離を置くに従って、たぶんそういうものがどうでもよくなったんだろう、次第にプロレスが好きになっていった。

気がつくと、酔っ払ったさいにふざけて「袈裟切りチョップ→タメ→爆裂キック」とかを友達*1に掛けるぐらいだ。90年代半ばからプロレスを見始めた僕にとって、彼はプロレスの偶像の一人だった。

不器用なレスラーだった。技のレパートリーも多くない。IWGP、三冠ベルトを獲得したとはいえ、今から考えるとそんなに強いレスラーでもなかったんだろう。

でも、わかりやすいプロレスをしていた。シンプルで直線的で、単純で。そこが魅力だったんだと思う。そして、僕はそういう彼の戦い方が好きだった。彼の代わりは誰にも勤まらない。一時期彼が自身のテーマとして掲げていた「闘魂伝承」は実現することはできなかったのかもしれない。しかし、彼は彼らしいオリジナルのプロレスラー像を作り上げたと思う。

もう、彼の有志をリングで見れないのは残念だ。もう一度「闘魂三銃士」揃いぶみが見たかった。

合掌。

*1:rtomowaka氏とかね。大きいから安心して撃てる。