気がつけば一年

早いもので、気がついたらこの島に流れ着いて一年経ちました。いつ日本に復帰するのか今のところ未定だけれども、まあ来年の秋には帰るつもりだから、ちょうど折り返し地点を過ぎたあたりということになるでしょう。

最初の数ヶ月はトラブル続きで、それこそ生きていくのが精一杯という感じ。ようやく落ち着き始めたのがちょうどこのはてなDoblogを書き始めたころだったと記憶しています。最近僕の素性をよく知っている古い友人達からはなかばあきれ気味に、「よく続くもんだ」、と言われながら、でも、自分でも多少驚きつつ、楽しく更新している毎日です。

はてなにしろDoblogにしろ僕の基本的なスタンスは、僕が今考えていること、思っていること、感じていること、問題だと思っていることを自分の言葉で、自分がそれを伝えたいと思っている人たちへ、伝えること。日本にいたときに、日々当たり前のようにやっていたことを、ただただネットやBlogといった媒体に移しただけのことです。さすがにこの国から毎日のように長電話するわけにもいかないわけだし。

ただ、少しずつコミュニケーションの質が変りつつあるのも事実だと思っています。最初のころは現実世界で見知った人たちしか見ていなかったこのサイトも少しずつ、現実世界ではきっと出会うことのなかったであろう人たちも訪れるようになったし、また僕個人も、共感した話にはたまにトラックバックを送ることもあるし、同じ興味関心を持つ人のページや掲示板に書き込むこともするようになりました。だから、そういう過程を経て、僕が書く内容も少しずつ変化しているのかもしれません。たぶんそれは、僕にしか書けないことを、僕にしか書けない形で書きたいという意識というがエゴなんだと思います。もちろん、まだまだ未熟なのは重々承知しているし、自分的にはぜんぜん満足のいくものではないのだけども。*1

そう、僕にはいろいろなペルソナがあります。僕は日本人で、日本文化に愛着を持っている。でも、今現在、遠い異国、アイルランドのダブリンという街で暮らしている。僕はこの街で、身分は大学院生だけれども、一応歴史研究者として、人文科学研究者として、アカデミックな世界で暮らしている。でも、音楽が好きで、映画が好きで、サッカーが好きで、毎晩のように酒を飲んでいる、ごくごく平均的な20代後半の男性だったりもする。そういう僕という立場から見た事実、これは他人から見たら事実ではないのかもしれないけど、それを自分の言葉で、日本語で情報発信することに、僕は少なからず意義を見出しています。だってそれは、おそらく、僕がすることの出来る、数少ない僕にしかできないことだから。そして、そういう僕の立場から発した情報なり意見に対して、僕とは違う立場の人が反応してくれたり、感想を述べてくれたりするのが、僕的には楽しいわけだし。

そういうわけで、あと一年ぐらい、こういうスタイルでやっていこうと思っています。そしてこの一年の目標は、できるだけ早い段階で、この逆のバージョン、要は、インターネット上で、英語話者に対して英語で自分の問題関心を情報発信できるようにしたいと思っています。これは、もう少し英語能力の向上が必要だし、どういうフォーマットがいいのか現在検討中です。もちろん日本語で書く文章の翻訳ではなく、取り扱うトピックは多少変ることだと思います。まあ、秋の終わりぐらいにはこっそりと始めたいと思っています。まあそういう感じです。

*1:特に文体。大概酔っ払った勢いで、校正とかまったくしないからしょうがないのだけれども。