予定はちゃんと確認しましょう

朝8時半。

まだ、ベットの中。なんかうるさい。七時にセットした目覚ましはちゃんと消したはず。

うん、もぞもぞ動いてみる。どうやら携帯らしい。誰だこんな朝早くから。

出てみると、見知らぬ男性の声。

は?

何やねんこのおっさん、と思いきや、話を聞いてみると、今度スピーチをする予定のロータリークラブの担当の方であった。

ちょっと、目が覚める。

カレンダーを眺める。明日の日付の所に、だいぶ昔に走り書きしたメモが。たぶん2ヶ月前ぐらいに書き込んだ記憶がある。

明日の日程の確認かなと思いつつ、話を聞く。話を聞きながら、前に電話をもらったときに自分のデーターをメールで送るって約束していたなぁ、とか思い出す。当然そんなの党の昔に忘れていた。

ああ、メールが来ないから催促の電話なんだろう、と思い名が、話を聞く。

うん?今日?12時45分?  へ?
明日じゃないの?

どうやら最初のメモの時点で日付を間違えたらしい。
で、寝ぼけ眼の八時半。

会場のホテルの場所はわかる。ダブリンにいくつかある五つ星の高級ホテルだ。
でも、どのバスに乗ったらいいのかわからない。

そもそも、話す原稿の用意すらしていない。まあ以前使ったやつを流用するとして、すこし手を入れればいいだろう。

幸いなことにクローゼットにはちゃんとアイロンのかかったワイシャツがあった。不幸中の幸いということなんだろう。

とりあえずキッチンへ行って、眠気覚ましにカプチーノなんぞ作ってみる。ついでにサンドウィッチを。そうこうしているうちに冷静になる。そんな暇どこにあるんじゃい。

サンドウィッチをカプチーノで流し込み、とりあえずPCをネットに接続。ホテルへの生き方を確認。大学の側のバス停から約10-20分。余裕を持って12時半に着くと仮定して、12時過ぎには大学に着いている必要がある。ということは、さらに余裕をもって11時過ぎには家をでる必要がある。ふー。たかだか5マイルとか6マイルしか離れていないの。移動での時間のロスは、こういうときに結構痛い。そして時計を見ると9時半。

とりあえず、シャワーを浴び、歯を磨き、ひげをそる。パソコンに向かったのはだいたい10時前。前に使ったスピーチ原稿を探し、喋ってみてあんまり伝わりににくかった点を、書き換え、新しく付け足す。たかだか10分程度のスピーチだから、量的にはたいしたことはない。そしてようやく目が覚めて、集中力が戻ってきたのか、あっさりと完成。シャツを出し、スーツに着替え、瞬間革靴を磨くかどうか悩んだけど、どうせ外は雨。直ぐに汚れるからいいやと、そのままに。11時ぐらいに家を出る。

行く場所は実は電車の駅の側なんで、電車で行くのが一番楽で、一番早い。でも、11時をちょっと過ぎるとがくんと電車の数が減る、少なくとも僕の最寄の駅とそこを通るラインに関して言えば、だから、こういう確実に時間に間に合わせなくちゃいけないときには、逆に使いづらい。記憶が正しければ、11時過ぎの電車の次は12時半だ。平日なのに。シティーセンターまで数駅という好立地にもかかわらず、僕が電車をめったなことがない限り使わない理由はそこにある。

とはいえ、バスはこない。待てど来ない。まあ原稿が予定より早く仕上がったから、問題はないけど、イライラする。でもこれがアイルランド

さすがに昼前にもなると渋滞はたいしたことない。でも、急いでいたので普段あんまり好んでのらないルートのバスに乗ったので、大学まで約10分ぐらい歩かなくてはならない。時計を確認。もう大丈夫。絶対間に合う。

大学の側のバス停から違うバスへ乗り換える。ここから約10分。目的のホテルは、少なくとも財布の中に10ユーロ紙幣が一枚しか入っていないような貧乏留学生には縁のない高級ホテルだ。まあ、真面目にスーツにネクタイだから、そういう風にはたぶん見えないけど。

想定していたよりも人がいる。まあいい。僕はとやかく言える立場にない。
これまでの反省は生かして、アドリブで喋る悪い癖をすてて、芸はないけど、用意した原稿をそのまま読む。僕の英語能力だとこの方がぜんぜん楽。それに聞いているほうも、やっぱりわかりやすいみたい。原稿もだいぶ何度も手直しして、話し言葉で書くようにしているから、読み上げでもスムーズに喋れる。

そんな感じで無事、スピーチ完了。

当然タダ飯もくらいました。シーフードのオードブルの盛り合わせみたいなメインでした。変に料理していないので、すごくおいしかったです。五つ星なのにブロッコリーが茹ですぎなのと、デザートのチョコレートケーキがやはり脳天に突き刺さるぐらい甘いのは、アイルランドの仕様です。

教訓。予定はちゃんと管理しましょう。あと、PDA買ったんだから、ちゃんとそれを使いましょう。まあ予定が入ったのが日本へ一時帰国する前と、だいぶ前のことだったとは言えね。