週末の惨劇

なんか予想以上に閑散としていたアイルランドスコットランド研究の学際的な催しものに参加し、疲れて帰宅した土曜日の夕方。カール君はやることないので、台所でフリオ・イグレシアスを爆音でかけつつ、酒を飲んで管巻いておりました。

こっちは洗濯もしたいし、夕飯も作らなきゃいけないのに、管を巻き続けるカール君
相手をするほど暇じゃないので、コーヒーを入れてとっとと、部屋へ退却。僕の部屋まで届く大音量を至近距離で浴び続けている彼の耳を疑いながら、せくせくと読書。

夕暮れ時、だから、8時ぐらいかな、空腹に負けて台所へ降りると、まだカール君は管を巻き続けておりまして、大概にしろよ、と思いつつ、ジャファ・ケーキ*1を戸棚から取り出して、部屋へ戻る。

9時過ぎ。音が静かになったし、なんかちゃんとしたものを食べたくなって、台所へ。静かになったと思いきや、ただ単にタバコが吸いたいがために*2、外に椅子を持ち出して、酒を飲んでいるカール。さびしかったらしく、ビールをやるから酒を飲もうとのこと。しょうがないから付き合ってやるかと、外でビールを飲む二人。

そんなこんなで、カールの彼女ジェネが戻ってきた。スーパーが空いているうちに、酒を買出しに行っていたらしい。まだ飲むきか、お前ら。彼らの最近のお気に入りは、ジューサーでいろんな果物をごちゃまぜにした、得体の知れないカクテル。「今日の俺っちは、映画『カクテル』のころの、トム・クルーズだぜ」と、わけのわからないことを言いつつ、ふざけたカクテルをリッター単位で大量生産し始める、カール*3。つうか、腹減ったから、飯食わせろ。

カール君は、ちょっとお馬鹿なので、ビールのつまみに白ワインを飲みつつ、白ワインのつまみにカクテルを飲むという、ちゃんぽんXチャンポンみたいな、豪傑な方なんで、つまみなんてものがこの世に存在するとは夢にも思っていないようで、ひたすら飲み続けております。まあこれは彼に限らずこの辺に住んでいる人は皆そうなんだけど。

そんなこんなで、スウェーデン娘のジェナが、最近引っ掛けた典型的なアホ・アイリッシュの彼氏を連れて帰宅。火に油をそそぐとはこのこと、アホの祭典。もう手がつけられない。引くタイミングを間違えた僕はなぜか、これらインターナショナル・アホ・カップル(ズ)専属のカメラマンに任命され、デジカメで写真を取りつつ、PCへデーターを移して、スクリーンショーで延々と見せ続けなきゃいけなくなり、空腹から殺意を覚えつつ、たんたんと職務をこなしておりました。隠れてカップラーメンを食べた。

他の住人達も、腹をすかして台所へやってきた瞬間、ゲテモノ・ウェルカム・カクテルでお出迎えで、強制参加。レゾもゾーレンも目が笑っていない。

アホ(ズ)はそのころ、物置小屋の屋根に上って大騒ぎ。近くの子供たちと罵り合い。ケツまでだした。付き合いきれないので、適当に言い訳しつつ、リビングルームへ待避。つうかなんで狭い台所を占拠し続けるんだろう?彼らは。リビングでソファーに腰掛けて、ゆっくり酒が飲めんのか?

リビングでレゾの愚痴を聞いたのは、日付が変わったころ。すでに半切れのレゾ、ワーキングクラスとかアル中とか教養とか、すっげーこと言い始めております。そんだけいわれるだけのことはしているのだが。そんなこんなしているうちに、酒がなくなったのか、静かになって、一安心、というか、ちゃんと片付けろよ、と思っていたら、こんどは痴話喧嘩。デリバリーで何をとるかで、揉めたみたい。いい加減にしろよ。

と、痴話喧嘩の様子を伺っていると、パシ、とかドカとか音がします。泣き声も聞こえます。ああー、殴っちゃった。とりあえず、カールをリビングに移動させ、ジェネをみんなで慰めます。みんなが慰めるもんだから、面白くないカール君は、一人部屋に戻ったと思いきや、篭城開始。つうか子供かお前。半狂乱のジェネ、すねるカール。つうか俺の部屋の前で騒ぐのやめてくれ。しょうがないので、ちょっと介入。30分ぐらい、ドア越しに説教。でも、寝てやがる、こいつ。

ドアを強引に開けて、ジェネを部屋に戻して、とりあえず、一件落着。

日曜の朝。さすがにまずいと思って、キッチンの片付け。なんで僕が?つうかなんでナイフが12本もでているの?何人で酒飲んだら、ありったけのグラスが必要になるの?と切れながら、片付け。カールとジェネは仲直りしたらしい、良かった。でも、ありがとうの一言ぐらい言うだろう、普通。

で、昼前には二人で外出。たぶん行き先はパブ。ほかにすることないんかい、君ら。

二人が出て行ったあと、家には静寂が。ようやく仕事ができる。

昼過ぎにリビングを覗いたら、レゾとゾーレンが話し込んでいる。何を話しているかと思いきや、カールの対応を協議しているらしい。どうやら堪忍袋は既に切れているらしい。二人で、家主に相談するか、それとも内輪で話し合うか、何を伝えなきゃいかないかを、考えていたらしい。とりあえず3人で、今日の夜にでも、みんなで話あう機会を設けようとのことを、決める。音楽と掃除の分担と酒の飲み方と台所の長時間の占拠と、ごみの出し方は、やっぱり言うべきだということに。

で、今、カール君が帰ってきました。既に飲んだくれです。話せる状況ではありません。やっぱりフリオ・イグレシアスです。友人を連れてきたみたいです。ジュウサーの音も聞こえるので、まだ飲む気です。家主に相談して追い出すしかないのかなぁ。

というとこまで書いて、いい加減指導教官への報告書をまとめていたら、下の階から子供の声。子供まで連れてきたか、と思いきや、家主のフィオナとその子供達登場。タイミングがいいとこ考えると、誰かがちくったか?どうやらそういうわけじゃなくて、ただ単に気が向いただけらしい。

僕がパトリックと遊んでいる間に、ゾーレンが現状報告。一応、家主の方から注意をしたらしい。カール君は家主がいる間はおとなしくしていたけど、いなくなったら反動でより大きな音でフリオ・イグレシアス。機嫌を悪くしたみたい。一番はなれた僕の部屋まで聞こえる声で、ゾーレンにひとしきり悪態をついていたから。「なんで俺っちだけ文句言われなきゃいけないんだ、おめえのへたくそなギターの音にがまんしてんだからよ」*4みたいな。はっきりと聞こえたわけじゃないけど、まあそんな雰囲気。ジェネはしおらしく個別に謝っていたけど、たぶんカール君には、意味がわかっていないみたい。フィオナは最悪追い出すことも考えるって言っていたんだよ、空気読めよ。つうことで火曜日の夜に緊急ミーティングだそうな。つうか、一言でも僕の予定聞いたか、お前ら。

*1:柔らかいクッキーの上にママレードが乗っていて、その上からチョコレートがオーバーコーティングされたお菓子。結構お気に入り。マクビティとジェコブスのやつがよく売っているけど、ジェコブスのほうがおいしいと思う

*2:禁煙法とは無関係に、家の中は禁煙です。

*3:一番酷かったのは、オレンジ、クランベリージュース、バナナ、ミルク、砂糖、ウォッカ。もしかすると白ワインも入っていたかも。バナナの繊維やオレンジの繊維が絶妙な口当たりの悪さをかもしつつ、砂糖が追い討ちをかけます。後味に残るミルクくささがなんとも言えない、ほとんど罰ゲーム。

*4:下手なことは認めるし、ピンク・フロイトを一人で引くのは、正直どうかと思うけど、最近ニルヴァーナ教則本を買ったみたいなので、なんか努力しているのは認める。ゾーレン自身、どうみてもニルヴァーナという雰囲気ではないし、その飛躍はどうかとも思うのだけれども。