チラシ寿司と煮物

まず第一に英語で日本料理の作り方を説明するのはめんどくさい。
それにそもそもレシピなんぞ見ないで作っている料理をちゃんとレシピになるように説明するのは、もっとめんどくさい。

でも、なんとかちゃんとわかってもらえたようでうれしかった。鰹だしとかシイタケの戻し汁の味の特徴とか、すぐにわかってくれた子だから、案外筋がいいのかもしれない。包丁使いが危なっかしいけど、これはまったく切れない包丁のせいだしね。

料理の仕上がりの方は、まずまず。やはり日本酒があると、味がしまることを実感した。一応作ったのは、スモーク・サーモンとかアヴォカドとか海老の水煮とか、アイルランドのどこでも手に入るものをトッピングしたチラシ寿司と、大根やレンコンと鶏肉をさっぱりめに煮付けた煮物。でも、電子レンジとか使わずに、ちゃんと下処理の仕方まで含めて説明したので、時間は掛かるけど、ちゃんとした日本料理らしくなっているはず。

意外だったのは、海苔がぜんぜん平気だったのと、シイタケがの味に感動されたこと。インドでもやっぱり食わないらしいだけどね、両方とも。まあ味覚のレベルがアイルランド人よりは僕に近いのかもしれない。

教えたお礼に、ダブリンのおいしいインド料理店を教えてもらおうと思ったら、「そんなものはない。あれはアイリッシュ・インド料理だから、まずくて食えない。そんなん食うぐらいなら、自分で作った方がよっぽどまし」ということなので、代わりにカレーの作り方を教えてもらうことになった。何カレーがいい?ということだったので、何でも、典型的なインド・カレーがいいと言ったら、すごく困っていた。「地域によってぜんぜん違うしね」とのこと。そりゃあそうだろうな、なんせ馬鹿みたいに人居るし、アホみたいに広い国だから。まあなんか教えてくれるみたい。

最後の日本茶まですっかり楽しんでもらえたようで、すごくうれしかった。箸の使い方も初めだというのに、最後にはほぼ完璧に使いこなせるようになっていたから、前世は日本人だったのかもな、と思ったりもした。