『牛頭』

三池崇の『牛頭』が普通のシネコンで、当たり前のように上映している。キング・アーサーとかスパイダーマン2の看板の横に哀川翔がいるわけだ。もちろん立派なモンモンで。シュールな世界である。

客の入りは平日夕方ということを考えれば、ボチボチという感じ。公開が始まってもう2週間ぐらいたっているから、そんなもんだろう。客層はアジア人が多いけど日本人はいなかったと思う。白人も多い。女性客だけというのも結構目立つ。勘違いしてデートで来ている空気の読めない客もちらほら。翔兄貴がチワワを「やくざ犬」だといってぼこぼこにするような映画をデートに選ぶとはなかなかセンスがいい。

もちろんこういう背景には、この映画自体去年のカンヌに出展しているはずだし、ヨーロッパでの三池崇人気は結構定着した観がある。代表作はちらほら売っているし。それにかれの作風は深作ー北野ー三池というラインで、過激な暴力描写を梃子に、現在の日本映画の位置潮流として理解しやすいのかもしれない。あくまで表層レベルのお話だけど。

映画の方は、実にわけがわからなくて、面白かった。ちっとも怖くないし。みんな笑っていた。あれは狙い通りなんだろう。

字幕だとやっぱり、日本語の言葉づかいの妙とか、伝えづらそうだったけど、そういうのがあんまり関係のないレベルの役者が多く、すごいなぁとつくづく感心した。丹波哲郎とか、そういう感じ。

あと、日本人女優独特の魔性な感じはやっぱりいいなぁ。吉野公佳良かったです。